「走るたびに膝が痛い…」長距離ランナーを悩ます”膝蓋大腿症候群”とは?

先日、来院された長距離選手の症例です。

「走り込んでいると、だんだん膝のお皿のまわりがズキズキしてくる。練習を休むと楽になるけど、また走ると痛くなる…」

大会が近いのに練習を減らせない、そんな葛藤を抱えながらのご来院でした。


🦵🏻「膝蓋大腿症候群(膝蓋骨軟化症)」の可能性

検査をしていくと、膝蓋大腿症候群(しつがいだいたいしょうこうぐん)、別名「膝蓋骨軟化症(しつがいこつなんかしょう)」の可能性がありました。

聞き慣れない名前かもしれませんが、長距離ランナーに多く見られる、膝のお皿(膝蓋骨)まわりの痛みの代表的な原因のひとつです。


💡なぜ痛みが起きるの?

膝のお皿(膝蓋骨)は、太ももの前側にある大きな筋肉「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」の腱に包まれるように存在しています。

走ることを繰り返すうちに大腿四頭筋が疲労して硬く張ってくると、その引っ張る力が強くなり、膝蓋骨が大腿骨(太ももの骨)にグッと押し付けられた状態になります。

骨と骨が必要以上に圧迫し合うと、軟骨への負担が増して炎症が起き、じわじわとした鈍い痛みが生じてくるのです。

「休めば治るけど、また走ると痛くなる」というのは、まさにこのメカニズムによるもの。根本を解消しないと、繰り返しの痛みになりやすいのが特徴です。


⚡施術①:大腿四頭筋をしっかり緩める

まず行ったのは、硬く張っている大腿四頭筋への施術です。

アキュスコープ・マイオパルスなどの微弱電流や鍼を行い筋肉のこわばりをほぐし、膝蓋骨にかかる余計な圧迫を取り除いていきます。

自宅でのストレッチもとても効果的です

ご自宅でも続けていただけるよう、大腿四頭筋のストレッチをお伝えしました。

【大腿四頭筋ストレッチのやり方】

  1. 横向きで寝た状態で、片方の足首を同じ側の手でつかむ
  2. かかとをお尻に近づけるようにゆっくり引き寄せる
  3. 太ももの前側が伸びているのを感じながら20〜30秒キープ
  4. 左右交互に行う(1日2〜3セットが目安)

🏥施術②:内側広筋のリハビリ

もうひとつ重要な点があります。

大腿四頭筋は4つの筋肉から成り立っており、その中の**内側広筋(ないそくこうきん)**と呼ばれる、太ももの内側にある筋肉が弱かったり、うまく働いていなかったりすると、膝蓋骨が外側に引っ張られやすくなり、膝蓋大腿症候群が起きやすくなります

今回の患者さんも内側広筋の働きが十分でなかったため、この筋肉をしっかり活性化させるリハビリを行いました。

内側広筋は意識しないと使われにくい筋肉ですが、適切なエクササイズで鍛えることで、膝蓋骨の動きが安定し、再発予防にもつながります。


🏠「痛みが取れたら終わり」ではなく、再発しない膝づくりを

膝の痛みは「走りすぎ」だけが原因ではなく、筋肉のバランスや使い方のクセが隠れていることがほとんどです。

具体的には大腿四頭筋を支配している「大腿神経」は腰から来ていますので、腰にも原因があることもあります。痛みが引いてからも、腰の体操や内側広筋のリハビリ、ストレッチを習慣にすることで、ランニングを長く楽しめる体づくりにつながります。


🖊️まとめ

✅ 走っているとお皿のまわりがじわじわ痛くなる
✅ 階段の昇り降りや、しゃがむときに膝が痛い
✅ 一度治ったのに、走り込むとまた痛みが出る

こういった膝の悩みは、ご相談ください。しっかりと原因を確認した上で、あなたの膝に合った施術とセルフケアをご提案します。


参考資料

・当院研修会資料

・病気がみえる 整形外科

・ネッター解剖学アトラス