ひざのお皿の下が痛い?~膝蓋下脂肪体炎(しつがいかしぼうたいえん)について~


「ひざのお皿の下あたりが痛い」「階段を降りるときにズキッとする」—そんな訴えで来院される方が最近増えています。以前は「膝蓋大腿症候群」という大きなくくりで扱われていましたが、最新の研究ではこの脂肪体こそが痛みの原因であることがわかってきました。


🦵 患者さんの疑問

🙋‍♀️「病院で”ひざのお皿の下の脂肪が原因”と言われました。脂肪が痛みを出すなんてことがあるんですか?」

✅はい、あります

1、膝蓋下脂肪体とは?

膝蓋下脂肪体は、ひざのお皿(膝蓋骨)と大腿骨の間にあるクッションのような組織です。関節の動きをスムーズにする大切な役割を担っています。

加齢による変形性膝関節症や外傷などによって、この脂肪体に炎症が起きることがわかっています。

2、痛みの特徴

膝蓋下脂肪体の痛みには、いくつか特徴的なサインがあります。

  • 場所:ひざのお皿の下あたりに限定されることが多い
  • 動作時に悪化:階段を降りるとき、椅子から立ち上がるとき、膝の曲げ伸ばしで痛みが強くなる
  • 炎症サイン:腫れや熱感を伴うこともある

3、放っておくと慢性化する

炎症が長引くと、脂肪体が線維化(せんいか)して硬くなってしまいます。こうなると、膝の動きが悪くなるだけでなく、痛みも慢性化する傾向があります。


✏️膝蓋下脂肪体炎とは?

最新の研究(江玉睦明教授ら、Scientific Reports 2022)により、膝蓋下脂肪体の形状は3つのタイプに分類できることが明らかになりました。

  • Type I:内側部・外側部ともに正常
  • Type II:一部が欠損
  • Type III:内側部・外側部ともに欠損しており、関節変性が重度のケースが多い

重度の変形性膝関節症では脂肪体の体積が小さくなっており、クッションとしての機能が失われていくことが示唆されています。

また、膝蓋下脂肪体には痛みを感じ取るセンサー(神経)が非常に多いことも研究で判明しています。炎症が起きると異常な血管(もやもや血管)が増え、それと一緒に神経も増えてしまうため、少しの刺激でも強い痛みを感じやすくなります


🧐似た症状の膝の病気との違い

膝蓋下脂肪体炎は、以下の疾患と症状が似ているため、鑑別が重要です。

  • 変形性膝関節症
  • 半月板損傷
  • オスグッド・シュラッター病
  • ランナー膝

「ひざが痛い」と一口に言っても、痛みの出る場所・タイミング・動作によって原因が異なります。自己判断せず、専門家による評価を受けることが大切です。


✅まとめ

膝蓋下脂肪体は、単なる脂肪ではありません。

神経が豊富で炎症を起こしやすく、ひざの痛みの”隠れた原因”になっていることがあります。炎症が長引くと線維化・慢性化が進むため、早めのケアが重要です。

ひざのお皿の下あたりに痛みがある方、階段や立ち上がりで痛む方は、一度ご相談ください。

当院では、膝蓋下脂肪体炎に対して微弱電流(アキュスコープ・マイオパルス)を用いたアプローチを行っており、炎症の鎮静と神経の過敏性を整える施術や鍼で効果が期待できます。

また、脂肪体をもみほぐす事も有効ですので、ご自宅でのセルフケアのやり方をお伝えしています。


📚参考文献

・Edama M, Otsuki T, Yokota H, Hirabayashi R, Sekine C, Maruyama S, Kageyama I. Morphological characteristics of the infrapatellar fat pad. Scientific Reports. 2022.

・当院研修会資料