「いつの間にか骨折」知っていますか? 腰椎圧迫骨折と骨粗鬆症
腰痛・坐骨神経痛
2026年6月14日
高齢化社会とともに増え続ける「腰椎圧迫骨折」
日本は世界でも有数の超高齢化社会を迎えています。それに伴い、近年増加しているのが腰椎圧迫骨折です。
腰椎圧迫骨折とは、背骨(椎体)がつぶれるように変形してしまう骨折のこと。転倒や事故などの明確なきっかけがなくても起こることがあり、「いつの間にか骨折」とも呼ばれています。
「背中が痛いな」「なんとなく姿勢が悪くなった気がする」といった程度にしか感じない方も多く、本人すら気づかないうちに骨折していることも少なくありません。
🦴なぜ骨が折れやすくなるの? 骨粗鬆症のしくみ
圧迫骨折の最大の原因が骨粗鬆症です。骨粗鬆症とは、骨の密度(骨密度)が低下して骨がスカスカになってしまった状態のことをいいます。
骨密度の測定にはいくつかの方法がありますが、日本ではYAM法(若年成人平均値との比較)がよく用いられます。若い世代の平均値を100%として、70%以下になると骨粗鬆症と診断されます。
病院に行くともらる検査結果の用紙の黄色のエリアが70%のラインです。それより下の赤いエリアに印がついていると69%以下となり、注意が必要となります。
💡女性が特に注意すべき理由
骨粗鬆症は男性にも起こりますが、特に注意が必要なのは女性です。
女性は閉経を迎えると、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少します。このホルモンには骨を守る働きがあるため、閉経後は骨密度が低下しやすくなるのです。「更年期に入ってから背中が痛くなった」という方は、骨密度のチェックをおすすめします。
👩🏻🦳「骨が丈夫な人」「そうでない人」の違いは?
骨密度は生活習慣や食事だけで決まるわけではありません。実は骨密度には遺伝的な傾向があります。
「お母さんも背骨が曲がっていた」「祖母が骨折しやすかった」という場合は、ご自身も骨粗鬆症になるリスクが高い可能性があります。ご家族に骨粗鬆症の方がいる場合は、早めの骨密度検査をご検討ください。
💊薬の副作用でも骨が弱くなる?
生活習慣や遺伝以外にも、骨密度を低下させる原因があります。
関節リウマチや気管支喘息などの治療で長期間にわたってステロイド薬を服用している方は、骨密度が下がりやすいことが知られています。このような方は、主治医に相談しながら骨粗鬆症の対策も合わせて行うことが大切です。
🩻圧迫骨折が起きたら、どうなるの?
まず大前提として、骨粗鬆症と診断された方は飲み薬や注射による治療で骨密度をコントロールし、圧迫骨折そのものを予防することが重要です。
それでも圧迫骨折が起きてしまった場合、そのまま放置すると骨がどんどん潰れていってしまいます。そのため約3ヶ月間、コルセットなどで固定して骨が修復されるのを待つことが基本的な治療となります。
🐢「亀背」と「ドミノ骨折」─ 放置することの怖さ
一か所の圧迫骨折だけであれば、適切な治療で日常生活に戻れることがほとんどです。しかし、複数の椎体が骨折してしまうと話は変わってきます。
背骨の前側がつぶれてしまうと、背中が丸まった「亀背(きはい)」と呼ばれる姿勢になります。腰が直角に近く曲がってしまったお年寄りを見かけたことはないでしょうか? あれがまさにこの状態です(近年は管理が行き届いてきたため、以前より見かける機会は減ってきました)。
ここで一つ大事なポイントをお伝えします。亀背になってしまった方に「姿勢を良くしよう」と無理に体を起こすのはNGです。これは姿勢が悪いのではなく、骨そのものが変形してしまっているため、無理に矯正しようとするとかえって状態が悪化してしまいます。
そして怖いのが「ドミノ骨折」と呼ばれる現象です。一か所で圧迫骨折が起こると、その上下にある背骨には通常の約5倍もの力がかかるようになります(大腿骨や他の骨の場合は約2倍)。まるでドミノが連鎖するように、次々と骨折が広がってしまうことがあるのです。一か所の骨折を軽く見ず、しっかりと治療・固定することが非常に重要です。
🏥手術という選択肢─ BKP(バルーン椎体形成術)
ごく稀なケースですが、保存療法(固定)では対応が難しい場合にBKP(バルーン椎体形成術)という手術が行われることがあります。
これは、つぶれた椎体の中に小さなバルーン(風船)を挿入して膨らませ、できたスペースに骨セメントを注入することで形を戻す方法です。比較的体への負担が少ない手術ですが、適応は限られるため、専門の医師と相談のうえで判断されます。
まとめ
腰椎圧迫骨折は、気づかないうちに進行していることがある怖い骨折です。特に以下に当てはまる方は、早めに骨密度検査を受けることをおすすめします。
- 閉経後の女性
- 家族(特に母親や祖母)に骨粗鬆症や圧迫骨折の方がいる
- 長期間ステロイドを服用している
- 最近、背中や腰に痛みや違和感がある
当院でも、骨粗鬆症や圧迫骨折後のリハビリサポートを行っております。骨折して約3ヶ月固定して、骨がくっついてもまだ「背中が痛い」「最近姿勢が気になる」という方は、痛みに長期間の固定による2次災害的な症状が起こっているかもしれません。そういった症状でお困りの方はお気軽にご相談ください。
また、当院を受診された方で圧迫骨折が疑われた際は、治療を中断し適切な整形外科をご紹介します。
圧迫骨折を起こすとご本人はもちろんのこと、通院や自宅での介助などでご家族の負担が確実に増えますので、今回は圧迫骨折についての説明を行いました。




