ぎっくり腰(仙腸関節捻挫)

急性腰痛症の中に仙腸関節捻挫があります。仙腸関節とは仙骨というお尻の真ん中の骨と腸骨を骨盤の骨のつなぎ目左右対にあります。この仙腸関節にある前後の仙腸靭帯が種々の原因で緩み関節がグラグラになる事で関節自体も痛いですし、安定性を高めようと中殿筋というお尻の大きな筋肉が頑張る為過緊張を起こします。中殿筋は大きいのでここが張ると二次的な影響が出ることもあります。

仙腸関節を痛めた時の特徴は以下の通りです。

  • 痛みが比較的ピンポイントで出ます。どこが痛いですか?と聞いて指でここと指せてその場所が仙腸関節付近の場合はこれを疑います。通常は手のひらで円を描く様にこの辺ですという事が多いです。
  • 痛む場所は中央より外で、腰よりもお尻に近い場所です。
  • 上半身の重さと下半身でくさびの様になっているので、立っている方がまだ楽なことが多いです。
  • 原因が単独の場合はせきやくしゃみで響くことは少ないです。
  • 女性の場合は出産時に骨盤が開く必要があり、これはリラキシンという女性ホルモンが関わっています。同様に生理時にはこのリラキシンが分泌される為、この時期と重なることがあります。

仙腸関節捻挫が疑われた場合その場所に圧痛があるかを診て、ヨーマンテストと呼ばれる整形外科的検査でグレードを判別します。また、体位の変更が可能なくらい動けるのであれば感覚や拇指の背屈力を診て他の原因との鑑別を行います。

 

治療は次の内容を行います。

  1. 仰向けでSOTブロックのカテゴリーⅡという操作で仙腸関節を正しい位置へ調整します。
  2. うつ伏せで仙腸関節の所へ鍼を行います。また可能であれば周辺の固くなっている場所へ刺鍼するか電気をかけて緩めます。
  3. 同じくうつ伏せのままでアクティベーターアジャストを行います。人間はあらゆる関節などに位置感覚受容器という位置や傾きを感じ取るセンサーを持っています。組織が損傷されたり長患いしているするとこのセンサーが異常をきたしアンバランスが起こります。これを解消するのがアクティベーターという器具です。特に仙腸関節は位置感覚受容器が多い場所なのでこれをリセットする目的で行います。道具でパチパチするだけなのでとても地味ですがとても重要だと考えています。
  4. 仙腸関節ベルトを巻いてズレを最小限に留めるように努めます。これは腰の腹巻状のコルセットではなく専用のベルトを巻きます。また巻き方にもポイントがあります。仙腸関節は洗濯バサミの様の構造をしており両端を持つと中央が開きます。この両端にあたる部分が前の腰骨のでっぱりで上前腸骨棘(ASIS)と言います。ここにベルトがかかるとかえって関節部分が開いて逆効果になりますので、ベルトがASISの下を通りマジックテープが下腹部に来るようにやや下に巻きます。また立ったり座ったりするとすぐずれるのでその都度ご自分で巻いて頂くことになりますので、最初に巻き方をご指導いたします

産後の骨盤ベルトとしてよく使用されるのトコちゃんベルトもこの仙腸関節のベルトです。昔のさらしもこれにあたります。